その異変は、ある金曜の夜、一週間の仕事の疲れを癒やす至福のバスタイムの終わりに、静かに始まった。水道局指定業者で排水口交換して名古屋昭和区にシャワーを終え、ふと足元に目をやると、洗い場のお湯がいつもよりゆっくりと引いていく。まあ、こんな日もあるか。その時の私は、これから始まる週末をかけた排水溝との死闘を、まだ知る由もなかった。 翌日の土曜日、事態は明らかに悪化していた。シャワーを浴びる私の足元には、あっという間にくるぶしまで浸かるほどの「湖」が出現したのだ。このままでは、我が家の浴室はさながら湖畔のリゾートと化してしまう。私はついに重い腰を上げ、排水溝の蓋に手をかけた。そこに広がっていたのは、想像を絶する光景だった。ヘアキャッチャーには、おびただしい量の髪の毛が、石鹸カスと絡み合い、もはや一つの生命体かのような塊となって鎮座していた。私は悲鳴を上げそうになるのをこらえ、震える手でそれを取り除いた。これで解決するはずだ。しかし、私の期待は裏切られた。水の流れは、ほんのわずかしか改善しなかったのだ。 こうなれば、化学の力に頼るしかない。ドラッグストアで「髪の毛を溶かす」と力強く謳われた液体パイプクリーナーを購入し、ボトルの半分を豪快に排水溝へと注ぎ込んだ。蛇口からの水漏れを大山崎町で専門業者に依頼すると説明書によれば、30分放置。私はタイマーをセットし、リビングで勝利を確信しながら待った。そして運命の30分後、給湯器の温度を最高に設定し、勢いよくシャワーで洗い流す。しかし、結果は無情だった。流れは依然として鈍く、私の足元には再び小さな湖が形成され始めた。 日曜の朝、私は完全に追い詰められていた。ネットで「風呂 詰まり 自力」と検索すると、様々な武勇伝がヒットする。その中に、「針金ハンガーを伸ばして突っ込む」という、いかにも効果がありそうな原始的な方法を見つけた。これだ!私はクローゼットから針金ハンガーを取り出し、力ずくでまっすぐに伸ばし、即席の武器を作り上げた。そして、その先端を排水溝の暗闇へと、慎重に、しかし大胆に差し込んでいった。数センチ進んだところで、何やらグニュリとした手応えがある。これか!と、さらに力を込めて押し込んだ、その瞬間。「ガリッ」という、壁を引っ掻くような硬い感触が手に伝わった。まずい。これは汚れではない、配管そのものだ。私は血の気が引くのを感じ、慌てて針金を引き抜いた。詰まりを奥に押し込んだだけで、あわや配管を突き破るところだったのだ。 万策尽きた。私のDIY精神は、排水溝のヘドロの前に、完膚なきまでに打ち砕かれた。私は白旗を上げ、スマートフォンの画面に表示された水道修理業者の番号を、震える指でタップした。電話口で事情を話すと、その日の午後に来てくれるという。その声は、まるで地獄に仏のように聞こえた。 到着したプロの職人さんは、私がしでかした一部始終を聞くと、苦笑いを浮かべながら、車から物々しい機械を取り出してきた。「業務用トーラー」という、長いワイヤーの付いた機械だ。職人さんは、そのワイヤーを巧みに操り、私が到達できなかった配管のさらに奥深くへと進めていく。そして、機械のモーターを回すと、ワイヤーは内部で回転し、固着した汚れを削り取っていく。ものの15分後、ワイヤーを引き抜くと、その先端には、私の想像を絶する大きさの、黒光りするヘドロの塊が絡みついていた。それこそが、我が家の湖の原因だった。職人さんがテストで水を流すと、お湯は「ゴゴゴゴ…」という、私が長い間聞いていなかった小気味良い音を立てて、一瞬で吸い込まれていった。 この一件で、私は学んだ。日々のこまめな掃除という予防の大切さ、そして、素人判断の危険性と、手に負えない問題は潔くプロに任せる勇気の重要性を。週末をかけた排水溝との戦いは、私の完敗に終わった。しかし、その代償として得た教訓は、これからの我が家の平和なバスタイムを、きっと長く守ってくれることだろう。